2015年10月31日土曜日

ロボットアイコン


友達がロボットのアイコンが欲しいとのことで作りました。
宇宙のイメージをつかうと、なんだか壮大な雰囲気に。


ついでに、年賀状に使えそうなのも ↓








2015年10月29日木曜日

透明になる



様々な考え方があると思いますが

死とは、すべてを手放して透明になることかもしれない と私は思います。

そう思ったのは、2年前に祖父が他界したときです。


筋肉だけが衰えていく難病が発症して、歩くのが難しくなった祖父は、

あっと言う間に寝たきりになってしまいました。

顔の筋肉も動かなくなり、しゃべれなくなりました。


しゃべれなくても、意識ははっきりしているので目からは意思を感じられます。

むしろ、話せないぶん目で語ろうとしていたので、目の光は強くなっていました。

でも状況は確実に死に向かっていて、祖父の体から感じるエネルギーのようなものは

日が経つごとに弱くなっていきました。


祖父が弱ってエネルギーを失っていく姿は、

私には祖父が透明になっていくように見えました。

私が祖父の体から感じていたエネルギーは、祖父の「思い」だったのだと思いました。

食べたい、話したい、生きたい...


「思い」とは「欲」でもあります。

祖父は欲を手放して、純粋な存在になっていきました。

絶望も希望もない、求めないし拒まない、すべてを受け入れる透き通った状態です。

私はその状態をみて、不謹慎かもしれませんが、美しいと感じました。


そして、最後には美しい透明になれるのだから、たくさん夢をみて、

成功して失敗をして、色々な感情を知って、キレイでもいいし汚くてもいいから、

生きているときはカラフルでありたいと思いました。



異国で浮遊する心 / 『ロスト・イン・トランスレーション』




私が最も好きな映画は、

ソフィア・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』です。


カメラマンの夫について東京に来た主人公のシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)

まだ新婚だというのにすでに結婚生活に不安を抱いてしまい、

なんとなく将来に希望を見出せない状態。

夫が仕事をしているあいだ、

もやもやした気持ちと共に 異国の街《トウキョウ》をさまよっていた。

ある夜、彼女は、同じく将来に希望を見出せない中年の俳優ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)

とホテルのバーで知り合う。

シャーロットとボブは、シャーロットの日本の友人たちと共に東京の夜で遊び、

お互いに抱えるむなしさを共有し、友情を深めていく...


というお話。


この映画の魅力はいくつもあるのですが、

中でもとくに、シャーロットとボブの存在の不確かさに惹かれます。


いつまでも気持ちが晴れない2人は、着地点がわからずに浮遊しているように見えます。

2人がもともと抱えている満たされない気持ちに、

言葉がわからない異国の地にいるという不安感が加わって

満たされない気持ちをさらに強く感じるようになってしまい、

もうどこに行けばいいのかわからないよ... という感じです。


「あ〜、不安だよね。わかるわかる」って、観るたびに思います。


2人が抱えている、どこに着地すればいいのかわからない浮遊した気持ちって、

誰もが持っているものだと思います。

みんな、自分の価値観で一番大切にするものを決めたり、

物事に優先順位をつけることで、自分なりにひとまずの心のあり方を

決めているけれども、心のあり方が決められないと、

私たちの心はふわふわと浮遊し続けるのではないかと思います。


異国の文化に触れて価値観が揺さぶられた二人の心は、

どこに行けばいいのかわからなくなってしまって、

ロスト(迷子)してしまうわけですが、

観ている私たちが不安にならないのは、

シャーロットとボブが、寄り添いながら迷子になっているから。


「人の居場所なんて、誰かの胸のなかにしかない」

という言葉が、これまた私が大好きな小説であり映画にもなっている

『冷静と情熱のあいだ』にでてきます。


東京で過ごす時間のなかで、シャーロットとボブはお互いに、

相手の胸の中を自分の居場所にしていたのではないでしょうか。

それはもう、友情ではなく恋愛だったと思います。

ラブストーリーだったから、ラストシーンがあんなにも切なく感じるのだと思います。


それぞれの生活に戻ったあとも、東京での冒険を思い出すたびに

2人の心はお互いの胸の中に飛んで行くのでしょう。


『ロスト・イン・トランスレーション』観ていないかたは、ぜひ。



早稲田松竹での上映を観に行きました。
同時上映作品だった『her / 世界でひとつの彼女』は、ソフィア・コッポラの旦那さんである
スパイク・ジョーンズ監督の作品です。こちらも良かった、泣きました。


旅の適齢期について / 沢木耕太郎さん『旅する力』






沢木耕太郎さんの『旅する力』というエッセイを読んでいたら、「旅の適齢期は26歳だ」という話がでてきました。

旅をするのに必要な経験と未経験を良いバランスで併せ持っている年齢が26歳くらいだそう..

それを読んで、その通りだ!と思いました。


旅の醍醐味は新しいことに遭遇して感動すること。

純粋に感動するには、知らないこと、未経験のことがなくてはいけない。

でも、若ければいいというわけでもない。感動するには十分に育った感受性が必要だから。

今のうちにたっぷり冒険して感性を育てておけば、

これから先の人生を心豊かに生きることができると思う。


20代、私と同世代のみなさんが色んなところに行けばいいなあと思ってます。

(写真はうちの猫です)