2015年11月28日土曜日

ロム・ヴィラセラン展 -庭園の想像力- / 加島美術

京橋のアートギャラリー 加島美術で開催されている「ロム・ヴィラセラン展」(2015.11.14-28)をみてきました。

ロム・ヴィラセラン(Rom・Villaseran)は、フィリピン人の現代美術作家です。
ファインアートだけでなく、CDや書籍のデザインも手がける気鋭のアーティスト。



キャンバスにアクションペインティングの手法でアクリル絵の具をのせて雰囲気をつくり、
そこに繊細なドローイングでイメージを描き込み、幻想的な世界観をつくりだしていました。





流れたりかすれたり、ぽたぽたと落ちたり。
偶発性を活かした絵の具と緻密なタッチの描写が組み合わさることで生まれる、迫力がありながらも繊細な雰囲気。






海の中にもみえるし、違う惑星の光景かなとも思える... 。
映画のワンシーンを切り取ったような、動きを感じさせる作品たち。
イメージを掻き立てられました。


加島美術での展示は今日が最終日でしたが、
これからの活躍が注目されているアーティストなので、作品をみる機会が増えるかも。

Rom・Villaseran : http://rom.villaseran.com





Daughter 聴いてきました。


新木場スタジオコーストで開催された音楽イベント
「Hostess Club Weekender」(2015.11.22-23) に行って参りました。

私が行った22日の参加アーティストは全4組。
そのうちのひとつがイギリスの3ピースバンド Daughter 。私が大好きなバンドです。





真ん中の女性がボーカル・ギターのエレナ、左がドラム・パーカッションのレミ、右がギターのイゴールです。2010年にエレナを中心に結成されてから、すぐに有名レーベルに見出されて瞬く間に人気バンドになりました。

今回のイベントで初めて生演奏を聴くことができたのですが、演奏も歌もとっても安定していて実力を感じました。(私の後ろにいた見知らぬおじさまも「うまい...」とうなっていました)
3人の落ち着いた佇まいも素敵。とても自分と同年代とは思えなかったです。



Daughter の音楽の特徴は、エモーショナルで詩的な歌詞とそれを歌うエレナの繊細な声、聴く人を包むような残響です。

Daughterの歌詞はエレナが書いています。
去りゆく恋人への思い、傷ついた心...。
彼女の書く詩のキーワードは「喪失」だと思います。
それなのに聴く人に癒しや希望を感じさせるのは、失うことを受け入れる雰囲気があるから。
何というか歌詞に「悟り感」があるんです。人生ってこういうものよ、という。
「失うことは美しいこと」そう思わせるような力すらあるのですが、これは彼女の美しく詩的な表現によるものだと思います。

そして、聴く人が自分なりの解釈をできるような曖昧さがあるのも特徴。
自分の心を投影しやすいので、多くの人の共感を誘います。

残響(音が響くかんじ)もまた、Daughter の世界観作りには欠かせないポイント。
エレナの少しかすれたささやくような歌声を響かせることで音楽のデリケートさが増し、歌詞の切なさがより私たちの心に伝わるようになっています。


Daughterの曲の中でも癒し効果の高い「Medicine」↓
残響ばっちり効いています。





壮大で神々しい雰囲気がどことなくエンヤを思い出させるなあと思っていたら、やはりアイルランド音楽の影響を受けているそう。
アイルランド音楽の神聖な雰囲気が好きな方、切ないアンニュイ雰囲気が好きな方は
Daughter 気にいると思います。

ぜひチェックしてみてください :)

Daughter : http://ohdaughter.com


2015年11月15日日曜日

「マリー・ローランサン展」と「ニキ・ド・サンファル展」


府中市美術館で開催中の「マリー・ローランサン展」と、
国立新美術館で開催中の「ニキ・ド・サンファル展」を取材させていただきました。
どちらもフランスの女性アーティストの展示です。

レビューはこちら
 マリー・ローランサン展「かわいいを追及したパリジェンヌ」
http://claudecour.jp/marielaurencin.html
 ニキ・ド・サンファル展「それでも私たちは強く生きることができる」
http://claudecour.jp/niki.html


パステルカラーをつかい、「かわいい」をテーマに美しい作品を制作し続けたローランサン。
鮮やかな色彩をつかい、自身の心の葛藤や社会への不満を表現した力強い作品を制作し続けたニキ。

2人の作風の違いには、生きた時代背景が違うということが大きく影響していると思いますが
(ローランサンの時代は退廃的で優美な雰囲気が、
ニキの時代はカウンターカルチャーが流行っていました)
それぞれの生き方や考え方の違いも見えてきたのが、面白かったです。
特に男性に対する考えの違い。
これが、それぞれの作品に大きな影響を与えていて、
2人の作風の違いを生み出している要因のひとつでもあるように思いました。

男性と言えば「父親」。
ローランサンとニキの人生の始まりをみると、
2人とも父親との関係で問題を抱えています。

ローランサンは私生児として生まれ、
父親のことを「時々やってくる人」としか思っていなかったそうです。
ニキは父親から性的虐待を受け、複雑な感情を抱いていたそう。

ローランサンは男性をほとんど描きませんでした。
男性から肖像画の依頼が来ても、高額でしぶしぶ引き受けるという感じだったようです。

徹底して自分が美しいと思う世界を描いたローランサン。
男性を描きたがらないということは、彼女にとって男性は描くべき美しいものではない、
彼女の表現したい理想の世界には男性はいない、ということだったのではないかと思います。
その原因は、父親との絆の薄さだったのではないでしょうか。
父親のいない環境でレースやリボンといった女性らしいもので遊んで過ごした子供時代が、
ローランサンの表現の土台となっているようです。


ニキは男性をテーマに作品を制作しました。
ニキの作品のなかで、男性はたびたび「怪獣」の姿で登場します。
怪獣からイメージするものといえば「破壊」や「暴力」です。
しかし、怪獣の気持ちを表現した作品(《モンスターのハート》)も制作していることから、
男性を理解すべき存在として捉えていたことがわかります。

優しい父と乱暴な父を知っていたニキは、
男性(人間、と言ってもいいかもしれない)の複雑さをよく理解していました。
そして、表現するべき大切なテーマとして男性をとらえていました。


《モンスターのハート》をみたとき「ニキは人間についてよく考えたんだろうなあ」と思い、
ジンとしました。
作品には作家の生き方や考え方が表われています。
そして作品から作家自身の姿が見えたとき、なんともうれしい気持ちになります。
この気持ちは芸術鑑賞を通してでしか味わえない気持ちで、
この気持ちを味わうことは、芸術鑑賞のひとつの目的になるのではないかと思います。


2015年11月2日月曜日

きらめくブルガリの世界 / アート オブ ブルガリ



上野にある東京国立博物館 表慶館で開催中の
「アート オブ ブルガリ」展に行ってきました。
130年を超える歴史を持つブルガリのデザインの変遷を、
時代ごとに紹介しています。

館内は撮影禁止だったので、写真は外観のみ。
まるでブルガリのショップのようなエントランスでした。


館内に入ってすぐのホールの円い天井に、
ブルガリのジュエリーをイメージした映像が映し出されていました。
万華鏡のように動く美しい映像を眺めているだけで、贅沢な気分に。
そこですっかりブルガリの世界に引き込まれてしまいました。

館内には、約250点ものきらめく作品たち。
どこを見てもたっぷりと宝石(正確にはジェムとよばれる半貴石)を
施したアイテムが並んでいて、ジュエリーでお腹いっぱいになる
贅沢な感覚を味わえます。
 
思わずニヤニヤしてしまいました。


もともと銀細工からスタートしたブルガリは
映画スターたちから愛されて、その地位を築いたそう。
 
展示内容も、エリザベス・テイラーのコレクションの紹介や、
ブルガリの作品が登場する映画のシーンを編集した映像など
映画界とのつながりを感じさせるものになっています。

ブルガリの作品と共にそれを身につけた映画女優たちのイメージが
展示されているのですが、それがまた美しくて。
美しい女性が身につけることでジュエリーは
さらに輝くのだと思いました。


数ある作品のなかでも、私が気に入ったのは
ファンシーグリーンダイヤモンドという石を使ったブローチ。
 
ぜひ、お気に入りの作品を見つけてみてください。



「アート オブ ブルガリ」









2015年11月1日日曜日



今年のお正月に、友達に送るように作ったグリーティングイメージ。